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聖徳太子1 梅原猛著

聖徳太子が活躍した六、七世紀の東アジアは風雲急を告げていた。著者曰く「数世紀ぶりに、中国において、南北を統一した巨大な隋帝国が出現して、隣国は、この隋帝国の侵略に戦々恐々としていたところであり、朝鮮半島には、高句麗、百済、新羅が鼎立し、互いに軍事および外交において、しのぎを削っているという状況にあった。変動の時代を迎えて、東アジア世界は、大いなる緊張につつまれていた。」また曰く「太子は、ただ日本の仏教の問題のみでなく、日本の政治や外交についても、実に重要な問題を投げかけてた。そして、そのような問題は、今の日本の問題でもある。」

今、統一中国が再び超大国として東アジアに覇を唱えようとしているように見える。歴史は繰り返すかのように見えるが、まったく同じとは限らない。我々は歴史から学ぶことができる。中国は隋帝国の顰に倣ってはならないし、日本は任那失陥や白村江の敗戦の顰に倣ってはならない。未来を選択するのは、我々である。

聖徳太子を、東アジアの政治・軍事・文化状況から初めて議論した本書は、現代日本人にとって必読の書かもしれない。