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同時代史 タキュトス著

西暦68年、暴君として有名なネロが自殺した。それは帝政ローマを全土を覆う泥沼の内戦の序曲でしかなかった。各地の総督がそれぞれの軍隊に担がれて、皇帝になったからである。それらは、ガルバ(ヒスパニア)、ウッテリウス(ゲルマニア)、ウェスパニアシウス(エジプト)である。軍隊では、下剋上が進行していた。将軍が権威を失って兵士のご機嫌をうかがっていた。ボーナスや利権を約束しなければ、兵士により弾劾されて将軍職を解かれ、非難され、処刑された。次に立つ者も同様の道をたどる。当然、軍隊による略奪と私的報復が横行し、市民を苦しめる。権力が次々と交代し、ネロを含めて3人の皇帝が斃れた。上から下まで私利私欲に走り、陰謀、裏切り、略奪、復讐が無意味に繰り返され、多くの市民が殺された。最終的には、ウェスパニアシウスが権力を掌握して、一応の平和が訪れる。