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映画評 ブレードランナー

ブレードランナーは1982年公開。言わずと知れたSF・サイバーパンク映画の金字塔である。とにかく敵役のレプリカント(火星から逃げ出してきた人造人間)たちが強い。特にリーダーのバッティーは、殴ってもナイフで切っても、銃で撃ってもへっちゃら。戦闘技術も卓越していて、主人公のデッカード(ハリソンフォード)はぼこぼこにされる。さらには、壁に隠れてハアハア休んでいたら、その壁をぶちぬいて鼻先に腕がつきだすというおきて破りの鉄腕ぶり。とっても怖かった。この怖さは、同じリドリー・スコットが監督のエイリアンや、後のターミネーターに共通のものだ。当時エイリアンをまだ見ていない私には、衝撃的で新鮮だった。

さらに、この映画のすごいところは、人間性とは何かについてしつこく鋭く問うていることだ。主人公デッカードは、何とかんとかレプリカンとを仕留めてゆく自分が、実はレプリカントではないのかと疑惑を抱き始める(レプリカントは製造時に適切な記憶を植えつけられる)。さらに、レプリカントの一人レイチェルに恋してしまう。さらにその混乱は、彼女のオリジナルのタイレル社(レプリカントの製造元)社長の娘(名前は忘れた)に誘惑され、拍車がかかる。「私はオリジナルだから、レイチェルよりよいはず」というわけだ。さあ、タイレル社ビルの崩壊の末一緒に逃げた女性は、一体彼が愛したレイチェルだったのか、それとも彼女のオリジナルだったか?「あなただったらどっちがいいですか?」と映画が問いかけてくる。油断のならない映画だった。
というと、小難しいようだが、アクション映画として十分楽しめる質の良い娯楽作品であることも保証する。ぜひ、一度ご賞味あれ。