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シグナル伝達転写因子(STAT)と遺伝子発現調節: STATs (Signal transcrptionand Activators of transription)s and Gene Regulation

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STATs (Signal transducers and Activators of Transcription) は35アミノ酸以上の長さ細胞質たんぱく質である。細胞が様々な細胞外ポリペプチドと出会ったときに、遺伝子の制御に参加するために起動される(Darnell 1997)。分子遺伝学的な研究により、リン酸化チロシン部位、二量体において相手のリン酸化チロシンに結合するSrc類似部位、DNA結合部位、たんぱく質相互作用部位が見つかっている。マウスの遺伝学的な研究により、哺乳類のSTATの様々な重要な役割が分かってきた。ショウジョウバエ(Drosphila)と細胞性粘菌(タマホコリDicyosetlium dicoideum)でもSTATが発見されたことは、これらのたんぱく質の機能の起源が非常に古いことを示している。

哺乳類においては、7つのSTATが発見されている。Stat1とStat4はマウスの染色体1(人間の染色体2のq12からq33に対応)に、Stat3、5A、5Bはマウス染色体11(人間の染色体12のq13からq14-1に対応)に、Stat2、6はマウス染色体10(人間の染色体17のq11からq22)にマップされている。Stat1、3、4、5Aと5Bは750-795アミノ酸残基を持ち、Sat2と6は、850アミノ酸残基の長さである。様々なスプライシングによってさらに多くの種類のペプチドが作られているようだが良くわかっていない。

35個の細胞外ペプチドが、STATを活性化する結合基であることが分かっており、様々な生物イベントで機能している。3つのSTATは狭い活性化特性を持つ。Stat2はIFN-αのみで活性化する。Stat4はリンパ球において、IL-12とIFN-αによって活性化される。Stat6はIL-4とIL-13によってのみ活性化する。一方、Stat1、3、5Aと5Bは、たくさんの違う結合基で活性化することが分かっている。

では、STATはどのように特定の生物反応をトリガしているのであろうか?同じ細胞には、同じSTATを活性化する受容体は一つしかないことがその答えになっているかもしれない。例えば、Stat5を活性化するIL-2の受容体はエリスロポイエチン、トロンボポイエチン、プロラクチン、そして成長ホルモンの受容体はそれぞれ別の細胞の別の分化段階で存在している。したがって、Stat5は赤血球前駆細胞においてはエリスロポイエチンによって活性化され、乳房細胞においてはプロラクチンによって活性化され、既に存在している違った転写因子と協力して別の転写制御に関与する。

無脊椎動物でもショウジョウバエでStat92Eが発見された[2,3]。Stat92Eに対応するmRNAの発現パターンにより、このたんぱく質の初期胚における役割が明らかになった。

Williamns et al. [4]は、Dictystelium discoideum(粘菌の一種、タマホコリ)においてDIF(分化励起因子)によるpre-stalk細胞の分化に必要なDNA結合たんぱく質のクローンに成功した。DIFは細胞膜に可溶の親油性分子であり、細胞の中に入って活動すると考えられ、したがって、遺伝子活性化ペプチドによりも、ステロイド超族の活性化因子に似ている。新たに発見されたDNA結合因子は、700残基の長さを持ち、その活性化型はリン酸化チロシンを持っている。さらに、特にSH2領域がかなりSTATに似ている。もし、これが本当にSTATであれば、哺乳類のSTATは非常に古い起源を持つことになる。

[1] Darnell, D. E. Jr., 1997, STATS and Gene Regulation, Science, 277, 1632-1635
[2] Yan, R. et al. Cell, 84, 421.
[3] Hou, X.S. et al. Cell, 84, 411.
[4] Tanaka, T. et al. 1997, Cell, 89, 909.