記事一覧

膜結合型[NiFe]ヒドロゲナーゼの起源と進化:Origin and Evolution of Membrane-bound [NiFe] hydrogenase (MBH)

ファイル 271-1.jpgファイル 271-2.jpg

電子伝達系の複合体I、もしくはNADHキノン酸化還元酵素(Nuo)は、現生生物の呼吸鎖の一部をなしており、嫌気性微生物のエネルギー保持[NiFe]ヒドロゲナーゼと密接な進化上の関係を持っている(fig 1)。すべての生物の中で、複合体Iのキノン結合サブユニットNuoDは、膜結合ヒドロゲナーゼ(MBH)の中のH2放出[NiFe]含有触媒サブユニットMbhLと最も近い関係にある。MBHは電子供与体としてフェロドキシン(Fd)を、NuoはFdもしくはNADHを用いる。

Schut et al. 2016によると、これらの酵素が共通祖先ARCから進化したと考えられる(fig 2)。MBHは、最も単純な呼吸複合体で、プロトンを還元して水素ガスにしつつFdを酸化し、さらに、放出された自由エネルギーを保持するために膜を通してプロトンを運ぶ。MBHは、5つのサブユニット(MbhJ-N)からなるヒドロゲナーゼモジュールと、9つのサブユニット(MbhA-I)からなるNa/proton対向輸送モジュールからなる。MBHは[NiFe]ヒドロゲナーゼの共通祖先ARCと膜貫通サブユニットが結合して生まれた。それが更に進化して最終的に呼吸鎖の複合体I、Nuoになったと考えられる。

Schut, G.J. et al. 2016, The role of geochemistry and energetics in the evolution of modern respiratory complex from a proton-reducing ancester, Biochemica et Biophysica Acta, 1857, 958-970.